富士山日記 富士山測候所に住んでみて
富士山日記 富士山測候所に住んでみて
来月のヒマラヤ行きの手続きの関係で、1日だけ下山してきた。
久しぶりの下界は空気が重く、肺が軽やかだ。
だけど、暑い・・・。
南極と比べると気温差は80℃近い。じりじりと照りつける太陽の暑さは富士山頂の方が上だけれど、肌にまとわりつく蒸し暑さと地面からの熱気にヘトヘトになる。
下界の暑さにはどうにも嫌気がさすけれど、やっぱり嬉しいのは水がたっぷり使えること。
下山してすぐに、麓の温泉で10日ぶりに風呂に入った。一生懸命3回くらいアタマやカラダを洗ったけれど、次から次へといくらでも垢が出てくる。
やっぱり臭かったんだろうか・・。
実はこの10日間、一度もパンツを履き替えていない。
「不潔!」とか言われそうだけど、これも実験のひとつ(?)。
南極へ行く前に、知り合いの服飾メーカーの方に「宇宙パンツ」というのを頂いた。
国際宇宙ステーション(ISS)で生活する宇宙飛行士のために開発されたものだ。
ISSも測候所も、風呂に入れないのは同じ。せいぜいできるのは、濡れタオルでカラダを拭くくらいだ。
「せっかく条件が似てるんだから、この環境で試さないと!」
という研究者魂で、10日間を宇宙パンツ1枚で乗り切った。
いまそのパンツは洗わずにジップロックで入れ、家の冷蔵庫に入れてある。
研究サンプルとして、パンツをプレゼントしてくれた方のところに送ろうか、どうにも悩むところだ。
もうひとつ下山して驚いたのが、体重が4キロ近くも落ちていたこと。
今回は長期の生活になるので、食事も生野菜を多く持ち込み、栄養や量もできるだけ気を使っていたつもりだ。
1日1回くらいは運動不足にならないようにお鉢巡りはしていたものの、決して運動量が多かったとは思えない。
まあいずれにせよ、南極で太った分をこれでようやく元に戻すことができた。素直に嬉しい。
この経験を生かして、高所ダイエットの本でも書こうかな?
冗談はさておき、山頂生活後半は運動量のモニタリングに重点を置くことにしよう。
山頂での食事には特に気を使っている。栄養ももちろんだが、1キロあたり数百円の荷揚料がかかる富士山では、重量も大切だ。
写真は南極観測隊で開発したフリーズドライ食品。お湯をかけるだけで食べることができる。
左が「バナメイエビのウニソース」、右が「親子丼」。宇宙飛行士の山崎さんもISSにこの南極フリーズドライ食品を持ち込んだ。
宇宙パンツと高所ダイエット
2010年8月17日火曜日